肉は冷凍した方が美味しくなる意外な事実

現代の日本では物流が発達し、より新鮮な状態の食材も手に入るようになりましたが、買ってすぐに食べないことも多々あります。そこで活躍するのが今や生活にはかかせないものとなった冷蔵庫。数日の保存であれば冷蔵、中~長期保存であれば冷凍を使い分けていると思いますが、冷蔵と冷凍に関してこんな風に思っていないでしょか。

冷蔵は長期保存できないけど味が落ちない、冷凍は長期保存できるけど味が落ちる」

強(あなが)ち間違いでもないですが、正しいとも言えません。

冷凍庫学

冷凍に関する研究が進み、冷凍食品がおいしくなってきましたが、家庭の冷凍はまだまだイマイチですね。それは家庭の冷凍はあくまで長期保存を目的としており、-18度に設定されているためです。そもそも細菌や微生物は食品の栄養を食べて有害物質をだし、食品が腐るのですが、一般的な細菌や微生物は-10度で活動をやめます。その-10度を少し上回るために‐18度と定めているようですが、美味しいまま保存するにはもっと低い温度で冷凍すればよいのです。そのため業務用の冷凍庫になれば‐60度なんてものもあります。もちろん何でもかんでも-60度がいいわけではありませんが。

こうした冷凍に関する研究や知識を学問として「冷凍庫学」と呼びます。

冷凍すると美味しくなる食材

貝類

あさり、しじみ、はまぐり等の貝類は冷凍することで細胞壁を壊し、うま味が出やすい状態となります。ただし、冷凍庫内は乾燥しているため、冷凍中に貝の水分が蒸発し、解凍しても身が固くなってしまいます。

ではどのように冷凍するのがよいか、それは水に浸してそのまま冷凍し、氷漬けの状態にするのがベストです。そして使用する際には氷漬けごと鍋に入れて加熱しましょう。しじみに至ってはオルニチンが8倍となるそうです。

氷漬けごと加熱する必要があるため、溶けた氷をそのまま使用する料理でないと意味がありませんので注意が必要で数。酒蒸しや、あさりパスタなどが良いでしょう。

えのき茸

一般的にキノコ類は細胞壁が頑丈なので普通に食べても人間の消化酵素では完全に消化しきれません。そこで冷凍することで細胞壁を壊し、よりキノコの風味を味わえ、キノコの酵素も摂取しやすい状態になります。

えのきは細胞壁を壊す事で、細胞内にある核酸が、酵素によって旨み成分であるグアニル酸に変化します。冷凍によって細胞壁を壊す際、より細胞壁を壊すためにはゆっくりと冷却すると良いそうです。そもそも冷凍によって細胞壁が壊れる原理は、細胞内の水分が氷になることで固体となって硬くなり、体積も増えるため、その過程で細胞壁にダメージを与えます。ゆっくり冷却すると氷の粒が大きくなり、細胞壁へのダメージをより大きなものにします。もう少し具体的に言うと、-1度~-5度が一番氷ができやすい温度とされていて、この温度帯を長く保つことで氷の粒が大きくなり、結果、細胞壁がより壊れるとの事。

えのきをゆっくり冷却するためには、まず石づき(根っこ)を切り落として保存袋に入れ、その上から新聞紙でくるんで冷凍すると良いです。また冷凍庫の上の方に置き、開閉時に温度変化が加わる場所の方がよいです。

解凍する際もゆっくり解凍しましょう。使用する数時間前に冷蔵庫へ移し、調理方法は旨み味を逃がさぬようホイル焼きなどがベストです。

ステーキ肉

意外ですがステーキ肉も一度冷凍することで美味しく食べることができます。ただ、これまでのように細胞壁を壊すことが目的ではなく、解凍せずに焼くことで簡単に良い焼き加減になるようすることが目的です。

通常であれば冷凍すると細胞壁が壊れ、解凍時に栄養分や旨みがドリップとして流出してしまい、味が落ちてしまいますが、冷凍後、解凍せずに焼くことで表面を焼き、温度差で肉汁を閉じ込めることでドリップの流出を防ぎます。

冷凍時には空気に触れさせると変色し、味も落ちてしいまうため、まずは肉を空気を抜きながらラップを巻きます。その後、あえて空気をふくませながら更にラップを2回まくことで外側に空気の層を作り、温度変化を受けにくい状態にします。そのため冷凍庫内の置き場所は開閉による温度変化をなるべく与えないよう、上の方ではない方がよいです。

凍ったまま焼く際のポイントとして、肉の厚さ1.5センチ程度の参考値となりますが、フタをして片面を2分焼き、ひっくり返して裏面もフタをして2分焼き、そしてフタをしたまま火を止めて、2分置いたらできあがりです。

冷凍すると調理が楽

トマト

ラップにくるんだ状態で凍らせて、10秒くらい水で洗うことで、薄皮をすぐに剥くことができ、凍ったままの方が刻みやすいです。

角煮

肉を下味につけたまま凍らせておくことで、細胞壁が壊れたところに味が染み込みやすくなり、煮込み時間も4時間から80分へ短縮することができます。細胞壁が壊れているので柔らかくもなるので、一石三鳥です。

飴色タマネギ

タマネギを一旦冷凍し、解凍後に切って炒めるだけで、飴色玉ねぎがいつもより簡単に作れます。これも冷凍によって事前に細胞壁が崩れているためで、5分くらいで飴色になります。時短に持ってこいですね。

冷凍庫は乾燥しやすいのでラップにつつんで凍らせましょう、長時間凍らせる必要はありません、数分で構いません。

飴色になりやすい反面、焦げやすくなるため、弱火がよいでしょう。

冷凍NG

マグロ

マグロは変色しやすいため変色を抑えつつ冷凍するためには-35度くらいベストです。ただ、一般的な家庭用の冷凍庫温度-18度では変色原因のミオグロビンが凍らないため、結果的に変色してしまいます。

なお、冷蔵庫で色が変化する場合には味が落ちますが、冷凍庫で色が変化する場合には味に影響はありませんので、見た目だけの問題です。とは言えドリップが流出してしまうと味は落ちてしまうため、家庭でマグロを冷凍するのであれば「漬け」にした状態で冷凍するのがよいです。

かまぼこ

かまごこは冷凍すると細胞壁とともに繊維がくずれて、スカスカのスポンジ状態になってしまいます。同じ原理で豆腐もスカスカになってしまいますので基本的に冷凍に向きませんが、あえてスカスカにして十分に水切りをすることで肉のような食感を生み出す、という逆転の調理方法もあります。

たけのこ

食物繊維がくっつき、固くなることで触感が失われてしまいます。冷凍前に刻んでおくことである程度防ぐことは可能ですが、料理方法は限定されてしまいます。

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